こおろぎの恩返し

北高体育大会名物の借り物競走が始まった
スタートの合図で、いっせいに走り出す

足の速いぜっけん4番が一番にたどり着いて
自分のレーンにあった封筒を取ろうとかがむと

「いやーっ!」

封筒の上にこおろぎがのっている
虫が大嫌いな彼女はどうしても手が出せずに
ちらりと隣のレーンの封筒に目をやった
まだ隣のレーンの子は来ていない…

さっとそれを取ると
「ざる…!」
と叫んで走り出した

息を切らしながらぜっけん3番が、どんじりで ようやくたどり着いた

「あれ…」

自分のレーンの封筒がない
周りを見ると横にひとつだけ残っていた
こおろぎはもういなかった

「まちがえたんだわ…」

ぜっけん3番はその封筒を取った

「わたしのは何かな?」

中の紙を読んだ





Chizumi & Fujiomikun

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